切らずになおす脳外科治療
MRガイド下集束超音波治療(FUS)のご案内
手足や頭、声などのふるえでお悩みのあなたへ
- 手のふるえで字がうまく書けない。
- 食事の時に、お箸やコップをうまく持てない。
- 声がふるえてうまく発声することができない。
- 手足や頭などが意に反してふるえてしまう。
そんな症状の方は、ぜひ当院にご相談ください。
手術や、薬を使わない、新たな治療法「MRガイド下集束超音波治療」は、2019年6月1日に新たに保険適用となり、保険診療として治療が可能となりました。
今後は、パーキンソン病にも薬事承認が拡大され、治療の有用性が期待されています。
本態性振戦とは
ふるえは、医学的には振戦と呼ばれ、身体の一部が自分の意思とは関係なく規則的に動いてしまう状態を指します。本態性とは「原因がはっきりとしない」という意味の医学用語です。「本態性振戦」は40歳以上の4%、65歳以上の5~14%の人に症状が認められているといわれております。
一般的な治療方法
薬物療法
軽度・中等度の本態性振戦の治療に用いられるのが薬物療法です。交感神経の高ぶりを抑えるように作用し、ふるえを抑えていきます。
手術療法
薬物療法で十分な効果が得られない場合や、副作用等が強く日常生活に支障が生じる場合は、ふるえに関与する脳の部位を熱凝固針で処置したり、脳刺激装置を埋め込む手術療法となります。
新たな治療法:MRガイド下集束超音波治療(FUS)とは
MRI画像(磁気共鳴画像装置)を用いて脳深部にある振戦の神経活動が異常な部分に、超音波のエネルギーを集束させて照射し、熱凝固することで、ふるえを軽減させる治療方法です。 従来の手術療法と異なり、頭を切らずに治療できるようになりました。
集束超音波治療(FUS)の特徴
- MRIを併用するためリアルタイムに正確な治療が効率的に行える
- 治療中の対話が可能(麻酔も使用しません)
- 外科的な処置や機器の埋め込みがないため、身体への負担が少ない
- 入院期間が短く、早い社会復帰が可能
治療の対象となる方
本態性振戦もしくはパーキンソン病と診断された方で、薬物療法の効果が低い方
- 本態性振戦と診断されていても頭蓋骨の性質や形状により、医師が適用外と判断した場合は治療ができない場合があります。
- この治療法は現在の症状を軽減する治療法です。病気そのものの治癒を目指すものではありません。
治療の流れ(診断から治療まで)
FUS治療適応確認を外来診療で行った後、3日間の入院治療を行います。
①お問合せ
※「手のふるえ(FUS)について受診希望」とお伝えください。
※本態性振戦もしくはパーキンソン病の診断がない方、薬物治療をされていない方の予約は取得できません。
※現在かかっている主治医がいる場合は紹介状をご持参ください。
TEL: 048-525-6779
(地域医療連携室直通)
②外来受診
③診察・検査・確定診断
《注》FUS治療が適応とならなければ、近隣医療機関へご紹介。
④MRガイド下集束超音波治療(FUS)治療
1週間程度の入院
入院治療の詳細はこちら
⑤退院後、外来で経過観察
入院治療の詳細
(1)治療前の検査・プランニング
CTスキャンを実施し、頭蓋骨の形状や厚さ、密度などを評価。
頭部MRIを撮影し、治療の可否の判断を医師が行います。
(2)治療直前
頭部の剃毛を行い、フレームと治療用ヘルメットを接続し頭が動かないよう固定。
術前および術中にMRI画像を撮り、超音波を集束させるターゲットを特定。
(3)治療
超音波を治療部位に集束させ、温度を高温(60℃以下)まで上昇させることで、標的組織を熱凝固させます。MRIでリアルタイムに確認しながら治療を行います。
(4)評価
術後は、短時間のうちに振戦症状の現象について治療効果を確認できます。
治療時間は一般的には3~4時間です。
FUS治療のご紹介
当院で行っているFUS治療のご紹介は下記動画をご覧ください。
本態性振戦FUS治療
メスを使わない”超音波治療「FUS」
年度別手術実績
2020年 | 2021年 | 2022年 | ||
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K154-4 | 集束超音波による機能的定位脳手術 | 50 | 67 | 39 |