身体拘束等の最小化に関する指針(概要)
社会医療法人熊谷総合病院(以下「当院」)における身体拘束等の最小化に関する基本方針
身体拘束は患者の療養生活の自由を制限するものであり、患者の尊厳ある生活を阻むものである。当院は、患者の尊厳と主体性を尊重し、身体拘束を安易に正当化することなく、職員一人一人が、身体的・精神的弊害を理解し、身体拘束廃止に向けた意識を持ち、緊急やむを得ない場合を除き、原則として身体拘束をしないケアの実施に努める。
基本的な考え方
- 身体拘束は廃止すべきものである
- 廃止に向けて常に努力する
- 安易に「やむを得ない」で身体拘束を行わない
- 身体拘束を許容する考え方はしない
- 身体拘束を行わないための創意工夫を忘れない
- 患者の人権を第一に考慮する
- 身体拘束廃止に向けてありとあらゆる手段を講じる
- 身体拘束を行った場合、常に廃止する努力を怠らない
身体拘束発生時の対応に関する基本方針
身体拘束を行わないことが原則であるが、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の患者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録する。身体拘束による心身の障害よりも、拘束をしないリスクの方が高い場合で、切迫性、非代替性、一時性の3要件のすべてを満たした場合のみ、本人・家族への同意を得て行う。また、身体拘束解除に向けたカンファレンスを行い、早期に身体拘束を解除すべく努力する。
1)言葉の定義
身体拘束とは、「衣類または綿入り帯を使用して一時的に該当患者の身体を拘束し、その運動を制限する行動の制限をいう」(昭和63年4月8日 厚生省告知 第129号における身体拘束の定義)
2)適応
(1)患者の身体拘束は以下の①②に適応とする。
- 患者本人又はほかの患者等の生命及び身体を保護する目的である。
- 緊急やむを得ない場合(一時的に発生する突発的な事態)
(2)適応時の要件
短期的又は緊急やむを得ない場合「切迫性」「非代替性」「一時性」の要件を満たしていること。
-
切迫性
患者の生命あるいはほかの患者等の生命・身体・権利が危険にさらされる可能性が高い -
非代替性
身体拘束を行わないあらゆる手段を検討したが他に方法がみつからない - 一時性
身体拘束や行動制限が一時的なものであること
(3)適応要件の確認及び承認
- 医師・看護科長・担当看護師が適応要件から協議し主治医が決定する。休日や夜間においては当直医、リーダー看護師とする。
- 医師は身体拘束の指示を出し、医師又は看護師はその経緯(やむ得なかった理由)を診療禄又は看護記録に必ず記載する。
3)患者及び家族への説明
身体拘束を行う場合、主治医はその目的、理由、身体拘束の方法と時間、期間等をできるかぎり詳細に患者本人、家族に説明し同意を得る。
※ 説明時は「身体拘束に関する説明同意書」を用いて説明し同意が得られたら署名を求める。
※ 緊急時に行う場合は電話にて説明し承諾を得る。承諾者の氏名と続柄を診療禄に記載する。(後日同意書に署名を求める)
身体拘束最小化のための職員教育・研修
患者に携わる全ての職員に対して、身体拘束最小化と人権を尊重したケアの励行を図り、職員教育を行うこと。
- 定期的な教育研修を、年1回以上実施すること
- 新入職者に対する身体拘束最小化の研修を入職者研修にて実施すること
- その他必要に応じ、教育・研修を実施すること
患者等による当該指針の閲覧に関する基本方針
当該指針は誰でも閲覧できるようホームページに掲載する
(附則)
この指針は2024年11月1日より施行する