形成外科とは
形成外科はひとことで言うと、体の表面(皮膚、皮下脂肪、毛髪、爪、など)に現れる変形や機能障害を治療する外科です。体の表面の組織であれば、顔・頭から足までいろいろな疾患を治療しています。必要に応じて骨に対する手術を行うこともあります。重症の方は埼玉医科大学病院等と連携して診療を行います。
- どんな小さい傷においても、「できるだけ目立たない、きれいな傷跡」とすることを心がけて治療を行います。
- 治療方針については患者様と十分にご相談の上で決定していきます。
- 他の診療科との連携を大切にし、必要に応じて合同で治療をすすめていきます。
対象とする疾患
外傷・熱傷(やけど)
- 切り傷、擦り傷、刺し傷、熱傷(やけど)など、体の表面のけがを治療します。
- 顔の骨(鼻の骨、ほほ骨など)の骨折を治療します。
皮膚のできもの(いぼ、ほくろ、おできなど)
皮膚のできものとしては、皮膚そのものにできるもの、皮膚の下の脂肪・筋肉にできるものなど色々な種類があります。治療はできものを摘出する手術が中心なりますが、外来通院で出来るものから入院治療を要するものまでその種類によって変わってきます。
いわゆる「いぼ、ほくろ」と言われるものは大部分が外来通院で治療できます。中には皮膚がんであることもあるため、急に大きくなったものはきちんと診察を受けることをお勧めします。
「脂肪のかたまり」とよくいわれるものには主に粉瘤と脂肪腫があります。粉瘤は、皮膚表面の成分が袋を作ってその中に粥状の垢や膿が溜まったもので、赤く腫れてしまうこともあるので、なるべく腫れる前に手術で取り除くことが望ましいと考えられています。脂肪腫は脂肪細胞からできる良性の腫瘍です。筋肉内の深いところに出来ていたり、稀に悪性であったりすることもあるため、適宜検査を行った上で必要に応じて摘出術を行います。子供の頃に比較的多く出来るものには石灰化上皮腫があり、毛穴の一部から出来ると言われています。
小児の先天性疾患
- 手足の疾患:合指症・多指症など
- 耳の疾患:小耳症・埋没耳・副耳・耳瘻孔(ろうこう)など
- 臍ヘルニア(でべそ)
臍ヘルニアは本来、おへその奥にあり内臓が出てこないように押さえておく部分(臍輪)が弱いため、おなかの中身がおへその下まではみ出してくることで起こります。先天性(生まれつき)のもの以外にも、妊娠や肥満などで腹圧が高くなり、臍ヘルニアを起こすこともあります。先天性の場合、1歳前後でほとんどの症例が自然治癒するとされています。2歳以降になっても治らない場合でも見た目以外に問題になることはほとんどありません。見た目が気になる場合は手術で治療することができます。
巻き爪(陥入爪)
- 陥入爪とは主に足の爪の角や側面が皮膚に食い込んで痛くなる病気です。
- 感染による炎症で痛みが強くなります。爪の湾曲が強い場合は巻き爪と呼ばれることもあります。
瘢痕・ケロイド
- けがや手術、やけど等のの傷あとが目立つ、ひきつれるなどの症状を改善できる場合があります。
- 症状に合わせて、薬剤・手術などによって治療します。
下肢静脈瘤
- 下肢静脈瘤とは足の静脈が怒張して"こぶ"のようになる病気です。
- 初期には血管が怒張するだけですが、進行すると足のだるさ、むくみ、こむらがえりなどの症状が出ます。
- 重症になると湿疹ができたり、足の皮膚が黒ずんだりします(色素沈着)。最重症では皮膚が破れたり(潰瘍)、出血することもあります。
- 当院では年齢、生活様式、病気の重症度などと患者様のご希望を総合的に評価して、一人ひとりに合わせた最適な治療法を選択しています。
褥瘡
「床ずれ」とも呼ばれ、身体の骨突出部で皮膚や皮下の組織が自分の体の重さで圧迫されることによって局所の血流が遮断され、その部位の組織が壊死に陥り、皮膚に傷を生じたものです。傷の処置を行うことに加え、日常生活の姿勢や車いすのクッション、ベッドのマットレスを工夫することで大部分が治療可能です。
糖尿病に伴う足のトラブル(たこ、まめ、痛み、靴ずれ、傷が治らないなど)
わが国においては高齢社会となり、生活習慣病の一つである糖尿病による足のトラブルが増えています。糖尿病を長く患っている方は
- 足が変形する
- 感覚が鈍くなる
- 動脈硬化により足の血流が減る
- 細菌に感染しやすくなる
などの原因により、足にたこや靴ずれ、治りにくい傷などを生じることがあります。重症化すると足の切断に至る可能性もあるため、予防と早期発見が重要です。形成外科ではたこ、まめ、痛み、靴ずれ、治りにくい傷などの原因を調べ、治療を行います。